飄香名菜譜
中国4千年の歴史を受け継ぐ
正統派四川料理の魅力

李白の『静夜思』を味わうひと皿


四川省出身の詩人・文豪といえば、「李白」、「杜甫」、トンポーロー(皮付き豚バラ肉の煮込み料理)を考案したことで知られる「蘇東坡」などが有名です。因みによだれ鶏という料理名のきっかけになった著書(その美味しさを想像しただけで、よだれが出てしまう)を書いた文筆家も四川の生まれです。

今回は、その中でも詩仙と称される「李白」の代表作『静夜思』から着想を得た料理をご紹介します。

『静夜思』
牀前看月光
疑是地上霜
挙頭望山月
低頭思故郷

-現代語訳-
寝床にさしこむ月の光をみて
(その白い輝きは)まるで地上に降りた霜のようだ
頭を挙げて山ぎわにかかる月をながめていると
頭が次第に下がってきて、故郷のことをしみじみ思っている

月を見て故郷を思う、美しく哀愁漂う秋の詩です。

四川省には皮蛋を食べる文化があります。皮蛋は石灰などを混ぜた強いアルカリ性の粘土をアヒルの卵に塗って熟成させたものです。白身は褐色のゼリー状、黄身は緑褐色でねっとり。中国料理には欠かせない食材ですが、この不気味な見た目とクセのあるにおい、初めて食べた人は実に勇敢だなと感心します。四川では他に黄金色の皮蛋も作られています。

皮蛋の食べ方も様々。香港では甘酢生姜(ガリ)と一緒に食べられていますが、四川では青椒皮蛋という、焼いた唐辛子と一緒に食べる伝統料理があります。また、ドクダミを豆板醤などの辛味と和えて食べる文化もあります。日本人にとってドクダミは多少クセが強いように思いますが、ドクダミを干したお茶は美味しく、デトックスや血流改善などの薬効でも知られています。

飄香の【静夜】は、やわらかく蒸した茄子に皮蛋を加えてよりねっとりさせます。そして、焼いた青唐辛子を加えてゼリー状にしたドクダミ茶で包み、黒酢の効いたソースをかけて仕上げます。
月の光に照らされた草花もイメージし、ドームの中に静かな夜を表現しました。

 

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