味付け・調理法のイメージ

飄香の魅力

味付け・調理法

「伝統四川料理の伝承」とは、四川省に古くから伝わる味付けや調理法の伝承と言い換えることもできます。飄香で料理を召し上がったお客様からは「こんな料理は食べたことがない」「はじめて味わう味だ」というお言葉をよくいただきますが、飄香の料理は決して創作中華ではありません。これらは伝統的な四川料理として昔からあった味であり、それを忠実に再現しているからこそ、日本人のお客様にとっては「はじめての味」となるのでしょう。

ここでは、そんな飄香の料理を支える味付けと調理法について少し詳しくお話しいたします。

1. 24の味付け

伝統的な四川料理には、24種類の味付けが存在しており、そのいずれかを用いて四季折々の様々な食材を調理していきます。飄香もこの24の味付けを忠実に守っています。また麻布十番本店のディナーコースは、この24の味付けをできるだけ多く楽しめる構成になっています。

24の味付けのそれぞれについて、以下にご紹介します。

(1) 麻辣(マーラー)

多くの日本人が「四川料理らしい味」として想像する四川伝統の味の一つ。四川山椒とも呼ばれる花椒の痺れるような辛さと、唐辛子のヒリヒリするような辛さを併せ持っています。麻辣の味付けの代表的な料理としては麻婆豆腐や水煮牛肉などがあります。

(2) 糖醋(タンツゥ)

濃厚な甘酢の味付け。糖醋または荔枝を使って味付けをすることが多いです。日本人に馴染み深い酢豚は糖醋の味付けの代表的な料理といえます。

(3) 芥末(ジェモォ)

四川料理では西洋料理の調味料が使われることがありますが、マスタードもその一つ。そのマスタードを効かせた前菜用のソースなどで使われている味付けが芥末です。鴨の水かきに芥末の味付けのソースをかけた料理などが代表的です。

(4) 酸辣(スーラー)

麻辣と並んで日本人がよく知る四川料理の味。唐辛子や生姜・胡椒の辛さに酢の酸味を強く効かせた味付けで、日本では酸辣湯に麺を入れた酸辣湯麺がよく知られています。ナマコの酸辣煮込みなども代表的な料理です。

(5) 椒麻(ジャオマ)

花椒と葱を粒がなくなるまで細かく包丁で叩いて香りを際立たせた味付けです。前菜用のソースなどでもよく使われています。肉料理との相性が抜群で、うさぎの細切り椒麻ソースかけなどは四川の人気料理となっています。

(6) 煙香(インシャン)

燻製で香り付けをした味付け。主に稲草や柏の枝、茶葉、クスノキ、ピーナッツの殻などを使って燻します。代表的な料理に干し漬け肉や樟茶鴨(スモークダック)などがあります。(樟茶鴨は六本木店のメニューです)

(7) 怪味(ガイウェイ)

他の中華料理では味わえない四川特有の味付けの一つ。麻(痺れ)、辣(辛味)、甜(甘味)、咸(塩味)、酸(酸味)、鮮(風味)、香(香味)のすべてを兼ね備えた複雑な味です。代表的な料理に怪味鶏片(鶏の怪味ソースがけ)などがあります。(怪味鶏片は六本木店のメニューです)

(8) 醤香(ジャンシャン)

甜面醤を使用した、濃厚でふくよかな香りと塩気の後に甘みを感じる味付け。8世紀に活躍した唐代の詩人・李白が好んだ味噌漬け干し肉などは、代表的な醤香の料理です。

(9) 煳辣(フゥラー)

唐辛子と花椒を赤黒くなるまで焦がし、香ばしく香りをたたせた味付け。代表的な料理としては宮保鶏丁(鶏とピーナッツの唐辛子炒め)などがあります。(宮保鶏丁は六本木店のメニューです)

(10) 五香(ウーシャン)

八角・丁子・フェンネル・甘草・ニッキ・花椒などの香りを立たせた、いかにも四川料理らしい独特の香りを持った味付け。炒め物や揚げ物、煮物など、広範囲に使われます。代表的な料理として五香牛肉(牛肉のスパイス煮)などがあります。

(11) 茄汁(チェジィ)

西洋料理で使われるトマトソースやケチャップも四川料理の味付けの一つとされています。茄汁はトマトソースやケチャップのことで、新しい四川料理でしばしば登場する甘酸っぱいトマトベースの味付けの総称です。代表的な料理に海老のトマトソースなどがあります。

(12) 蒜泥(スゥアンニィー)

蒜はにんにくのこと。にんにくを細かくみじん切りにして特製醤油と胡麻油ラー油を合わせたソースなどに使われている味付けで、蒜泥白肉(ゆで豚のにんにくソース掛け)などが有名です。

(13) 紅油(ホンユー)

日本人にもお馴染みのいわゆるラー油も、四川料理の重要な味付けの一つです。調味料としてだけでなく、冷菜をはじめ様々な料理に使われています。紅油兔丁(うさぎのラー油ソースがけ)などは代表的な紅油料理です。

(14) 鹹甜(シェンティエン)

氷砂糖や醪糟(もち米を発酵させた甘味のある調味料)と塩、カラメルを使って作られる、しょっぱさと甘さを併せ持つ味付け。代表的な料理には冰糖肘子(豚スネ肉の甘い煮込み)などがあります。

(15) 家常(ジャージャン)

家庭に常備されている調味料を使って作る味付け。厳密には特定の味を指してはおらず、家庭的で素朴な味付けの総称ですが、四川料理で家常といえば豆板醤や唐辛子ピクルスを使ったものが多いです。代表的な料理にナマコの豆板醤煮込み、豆腐の豆板醤煮込みなどがあります。

(16) 麻醤(マージャン)

練りごまを加工した調味料である芝麻醤と胡麻油(ごま油)を合わせ、香りを立たせた味付け。主に冷菜に使われます。四川の代表的な料理としては麻醤鳳尾(タチレタスの胡麻ソースがけ)などがあります。

(17) 魚香(ユイシャン)

発酵唐辛子、塩、黒酢などの調味料を用いて魚の風味を作り出した味付け。四川の家庭ではこの味のソースが使われています。代表的な料理としては魚香肉絲、魚香茄子(豚肉の細切りやナスに魚香ソースをかけた料理)などがあります。

(18) 陳皮(チンピ)

漢方薬としても使われる干したミカンの皮「陳皮」を用いた味付け。陳皮の苦味と香りに麻辣の辛味や痺れを合わせた、複雑な香りと味が特徴です。代表的な料理に陳皮牛肉(牛肉の漢方ミカン煮)などがあります。

(19) 甜香(テンシャン)

砂糖や氷砂糖を使った甘味料理に用いる味付け。松雲門派では「開胃菜」としてコースの最初に出ることが多く、その他辛い料理の後や、デザートにもこの味付けが使われます。代表的な料理に冰糖銀耳(白きくらげのシロップ煮)などがあります。

(20) 姜汁(ジャンジィ)

姜汁とは生姜汁のことで、生姜の香りと辛味を活かして酢と併せた味付け。冷菜と熱菜の両方でよく使われ、例えば冷菜であれば姜汁菠菜(ほうれん草の生姜ソースがけ)、熱菜であれば姜汁熱窩鶏(鶏のピリ辛醤生姜煮込み)などが代表的な料理です。

(21) 荔枝(レイシ)

荔枝とはライチのことですが、ライチではなく干辣椒・泡辣椒・花椒を組み合わせて作る、さわやかな軽めの甘酢の味付けのことを指します。同じく甘味と酸味の味付けである糖醋は、甘みの後に酸味を感じますが、荔枝は酸味の後に甘みを感じます。代表的な料理として合川肉片(豚肉のさわやかな甘酢炒め)があります。

(22) 香醪(シャンザァオ)

米から作った発酵食品であり、中国の甘酒ともいえる醪糟を用いた味付け。塩味と旨味の後のふくよかな甘い香りが特徴です。代表的な料理として糟酔冬笋(たけのこの醪糟煮込み)などがあります。

(23) 椒塩(ジャオイェン)

塩と花椒を合わせた調味料である山椒塩の味付け。揚げた魚介や肉類に山椒塩を絡めた料理が有名で、椒塩里脊(豚ヒレ肉の山椒塩炒め)などがそれにあたります。

(24) 鹹鮮(シィエンシェン)

塩味をベースに、旨味と風味を引き出した味付け。塩味・醤味・清鮮味を組み合わせて作ります。代表的な料理に鶏豆花(鶏のすり身ふわふわスープ)や白油肝片(豚レバーの塩醤油炒め)などがあります。(いずれも六本木店のメニューです)

2. 56の調理法

中華料理とその他料理との大きな違いに調理スピードがあります。注文を受けて10分以内に提供することを前提にレシピが作られているのは中華料理の大きな特徴です。もちろん飄香も、事前の仕込みなどはありますが、例えコース料理であってもお客様にお出しする数分前に調理をはじめ、できたてをご提供するようにしています。

季節や土地によって異なる多種多様な食材を扱いながらスピーディーな調理が可能なのは、調理法がある程度確立しているからです。中華料理に登場する調理法は56種類あると言われており、四川省で編纂された『四川烹任辞典』の中でもこれらが体系立てて紹介されています。飄香もこの56の調理法に従って料理を行っています。

この56の調理法について、いくつかに大別しながら簡単にご説明します。

炒める

小さく切り揃えた材料に対して少量の油を使い、撹拌(かくはん:混ぜ合わせること)しながら炒める調理法は、総じて(1) 炒(チャオ)と呼ばれます。中でも下味をつけず生のまま炒める場合は(2) 生炒(ションチャオ)、あらかじめ火を通してから炒める場合は(3) 熟炒(シュウチャオ)、でんぷんを加えた混合調味料を使う場合は(4) 小炒(シャオチャオ)、液状やすり身状に加工した食材に卵やでんぷんを加えて炒める場合は(5) 軟炒(ルワンチャオ)と呼ばれます。また、より高温で瞬時に加熱する調理法は(6) 爆(バオ)といいます。

仕上げにくずびきした餡(あん)をたっぷり絡ませる調理法が(7) 熘(リウ)です。さらに油通しして素揚げした食材を使う場合には(8) 鮮熘(シェンリゥ)、衣をつけて高温で揚げた食材を使う場合には(9) 炸熘(ジャアリゥ)といいます。

少量の油でじっくり炒める調理法のうち、食材の水分を取り除きながら調味料を十分吸収させる方法は(10) 干煸(ガンビェン)、平たく切った食材を、鍋肌を滑らすように両面をじっくり加熱して仕上げる方法は(11) 煎(ジェン)、食材を片に切り分けて重ね合わせ、片面のみを加熱して仕上げる方法は(12) 貼(ティエ)、卵料理などに使われる方法は(13) 烘(ホン)と呼ばれます。

大量の油の中に入れて高温・短時間で炒める調理法は(14) 炸(ヂャア)といいます。調味料をしみ込ませた食材を使う場合は(15) 清炸(チンヂャア)、卵白を用いた衣をつけて揚げる場合は(16) 軟炸(ルアンヂャア)、小麦粉とベーキングパウダーを使った衣で揚げてサクッと仕上げる場合は(17) 酥炸(スウヂャア)、たっぷりの油に材料を浸してゆっくり火を通して仕上げる場合は(18) 浸炸(ジンヂャア)と呼ばれます。

鶏一羽丸ごとなど、非常に大きな材料を揚げるために、油をかけながら仕上げる調理法は(19) 油淋(ヨウリン)です。日本人にもお馴染みの油淋鶏(ユーリンチー)は、「油淋」で仕上げた「鶏」という意味になります。

鍋で炒める調理法の中には、四川料理独特の(20) 炝(チャン)と呼ばれる調理法があります。これは干し唐辛子と花椒を油に移して香り付けをし、野菜などの材料を手早く炒める調理法です。

スープ

中華料理といえばスープも重要なレパートリーの一つですが、このスープを作るための調理法もいくつか存在しています。火の通りやすい形に切り揃えた食材を沸騰させた大量のお湯で短時間加熱する方法は(21) トン(上が「入」下が「水」という漢字)と呼ばれています。

同じく大量のお湯を使い、火を通すのは8割程度でスープごと碗に移して余熱で火を通す方法は(22) 烫(タァン)、液状に加工した食材を加熱した油やスープに流し入れて仕上げる方法は(23) 冲(チョン)、たっぷりのお湯を使いしっかり蓋をして弱火で長時間煮込む方法は(24) 炖(ドゥン)、下処理した食材をスープで煮込んで濃縮した煮汁のまま仕上げる方法は(25) 煮(ヂュウ)といいます。

煮詰める・煮る

加熱した食材に適量の水分と調味料を加えて沸騰させたのち、弱火~中火で味を浸透させ、煮汁を煮詰めて仕上げる方法は(26) 焼(シャオ)と呼ばれています。焼にはバリエーションが多く、醤油やカラメルを使い、赤茶の見た目に仕上げる場合は(27) 紅焼(ホンシャオ)、素材の色を活かして白い見た目に仕上げる場合は(28) 白焼(バイシャオ)、葱の香りをつけて仕上げる場合は(29) 葱焼(ツォンシャオ)、甜面醤を用いて仕上げる場合は(30) 醤焼(ジャンシャオ)、生の材料を使う場合には(31) 生焼(ションシャオ)、加熱した材料を小さく切ってよりじっくり煮込む場合には(32) 熟焼、味を浸透させた後に強火にして煮汁をすべて煮詰める場合は(33) 干焼(ガンシャオ)と呼ばれます。また四川料理の家常菜の中でよく使われる技法として、豆板醤を用いて仕上げる(34) 家常焼(ジァチャンシャオ)という焼の一種といえる調理法もあります。

同じく煮詰める方法として焼と異なり、たえず沸騰させて材料の水分でグツグツと煮込む方法は(35) 火督(フオドゥ)と呼ばれています。この方法は魚などの柔らかい食材に使うと崩れてしまうため、弱火で仕上げる(36) 軟火督(ルアンフオドゥ)というバリエーションもあります。

他にも煮込む調理法としては、適量のスープを加えて中火で短時間加熱し、最後にくずびきして仕上げる(37) 烩(ホェイ)、土鍋に蓋をして沸騰させた後、中火~弱火で加熱しながら煮汁を少量に煮詰めて仕上げる(38) 燜(メン)、同じく土鍋を使いながら煮詰めるほど水分を飛ばさない(39) 煨(ウェイ)、土鍋を使わず弱火で長時間加熱して仕上げる(40) 焅(カオ)といった調理法もあります。

蒸す

肉まんやシュウマイなど、中華料理といえば蒸し料理をすぐに思い浮かべる人も多いと思いますが、蒸気で蒸す方法はその名の通り(41) 蒸(ヂョン)と呼ばれます。強火で短時間加熱する場合は(42) 清蒸(チンヂョン)、密封容器に入れ蒸気に触れないように間接的に蒸す場合は(43) 早蒸(ザオヂョン)、米粉を加えて加熱する場合は(44) 粉蒸(フェンヂョン)と呼ばれます。なお、飄香は伝統四川料理を追求していますが、蒸すことに関しては、蒸し器の他にもスチームコンベクションオーブンを使っています。蒸し料理をより美味しくムラなく仕上げるために、伝統的な手法に固執せず、時にはこういった最新機器も活用しています。

(45) 烤(カオ)は、食材を直火または熱した気体で加熱する調理法です。特殊な炉を用いる場合は(46) 掛炉烤(グワルウカオ)、蓄積しない構造の炉を用い直火で加熱する場合は(47) 明炉烤(メンルウカオ)、専用のオーブンで加熱する場合は(48) 烤箱烤(カオシャンカオ)といいます。

その他

冷菜用の調理法としては、生あるいは必要に応じて加熱した材料に調味料を加えてあえる(49) 拌(バン)、素揚げした材料をスープで弱火~中火で煮汁を煮詰めてから冷やして仕上げる四川料理特有の技法(50) 炸収(ジャアショウ)、鹵水(香料を加えた煮汁)の中で加熱し、鹵水のうまみを浸透させて仕上げる(51) 鹵(ルウ)、煮詰めた糖液をからめて仕上げる(52) 糖粘(タンジャン)、野菜等を塩・酒・花椒・香辛料・白水で乳酸発酵させる(53) 泡(パオ)、調味料を調味液に漬け込んで味を浸透させる(54) 漬(ズー)、酒や醪糟(もち米の発酵調味料)を加えた調味液に漬け込む(55) 糟醉(ザオズェイ)、そしてゼラチンを冷まして煮汁ごと材料を凝固させ冷凍させる(56) 凍(ドン)があります。

このように数々の調理法を駆使して、飄香の多彩な料理が作られています。飄香には、多くの日本人のお客様にとっては未体験の料理が多く、ともすれば創作的な料理に思えるかもしれませんが、実は、四川料理や中華料理では以前から存在する、極めて伝統的な調理法で作られているのです。

お店と料理

飄香のお店で伝統四川料理をお楽しみください

麻布十番本店のイメージ
  • 東京都港区麻布十番1-3-8 Fプラザ B1F
  • ランチ  11:30 ~ 15:00 (L.O. 14:00)
  • ディナー 18:00 ~ 23:00 (L.O. 21:30)
  • 定休日  月曜日、第1・3火曜日
六本木ヒルズ店のイメージ
  • 東京都港区六本木6丁目10-1
    六本木ヒルズ森タワーウェストウォーク 5F
  • ランチ  11:00 ~ 15:00 (L.O. 14:30)
  • ディナー 17:00 ~ 23:00 (L.O. 21:30)
  • 定休日  なし
銀座三越店のイメージ
  • 東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越 12F
  • ランチ  11:00 ~ 16:00 (L.O. 15:30)
  • ディナー 17:00 ~ 23:00 (L.O. 21:30)日曜・連休最終日は営業時間を30分短縮
  • 定休日  銀座三越に準ずる

飄香の魅力

伝統四川料理を追求する飄香のこだわり